私の目の病気(3) 網膜剥離 殴られてないのに・・・

 両目の円錐角膜、両目の白内障に続いて、最後にお送りするのが網膜剥離です。これは、正直、驚きました。白内障でもう終わりだろ!って思ってました。網膜剥離と言えば、ボクサーをイメージすると思います。かの亀田3兄弟の次男だったでしょうか、この網膜剥離で引退に追い込まれました。でも私はボクシングはやっていません。原因は、アトピーだと考えられます。目を掻いたり、こすったりだけでなく、痒いと頭部などを叩くこともしてしまいますから。あとは、ストレスも原因だと言われています。正直、今回、私も仕事上の猛烈なストレスを感じていました。要するに、弱いところがやられてしまうイメージですね。ストレスとか、アトピーとか、曖昧な原因だと思われるかもしれません。でも、実際に罹患してみると、原因はアトピーとかストレスとかしか浮かばないのですよね。

 前置きが長くなりましたが、今回も科学的正確性よりは、自分の体験を重視して書きます。皆さんに身近に感じて欲しいからです。いつも書いていますが、アトピーのお子さんやその親御さんに知って欲しいわけです。早期発見して、なるべく軽い症状で病院に行って欲しいわけです。

 そして、網膜剥離については、1回目の手術から半年が経過、2回目の手術から1か月が過ぎた段階で書いています。実は、今もまだ広い意味では闘病中です。やはり、重いのですし、今後どうなるかは不明なのです。この点も最後に触れて行きたいと思います。

網膜剥離は、円錐角膜と白内障とは異なり眼球内の病気

 円錐角膜は、目の一番外側にある角膜の病気です。白内障は正確には目の中でしょうけど、ま、外側から比較的簡単にアプローチできる水晶体の病気です。しかし、網膜剥離の網膜は違います。

 網膜は眼球内で、角膜、水晶体を通った光を受け取る膜です。網膜自体は眼球内にある何重にも重なった膜の一番外側にあるものです。網膜剥離は放っておくと、失明に繋がります。視力が低下とか、今までの私の病気とは次元が違うわけです。しかも、剥がれるのは眼球の奥側です。光を受けるので、そりゃそうですよね。しかも、視神経が眼球内に繋がる部位(名称忘れました)が剥がれてしまうと、回復が難しいなど、恐ろしいことになります。

網膜剥離の初期症状 これ本当に知っていて欲しい!!

 これだけ、目の病気を罹患しているのに、今回も初期症状の知識がない状態でした。これは、想定外でしたから。でも、網膜剥離の初期症状は、比較的自覚しやすいです。何が言いたいかというと、円錐角膜は少し乱視が酷くなった、白内障は何かかすんで見える・・といった具合に自分の目の病気と直接繋がりにくいのですが、網膜剥離は結構分かりやすいのです。(でも、知識がないと私のように気づかないのですが。。。)

  • 暗い場所なのに、光を感じる
  • 星のような光の物体が目に見える。
  • 何かが飛んでいるように見える。(飛蚊症)私は自覚なかったです。

 暗いから、本来光は感じないはずなんですが、網膜が剥がれたりして物理的な刺激が加わり、光が見えるようなイメージですね。暗いのに、光が見えたら病院へ行ってください。漫画で、殴られたりして、頭に星がクルクル回る表現って、網膜剥離経験者からすると、あながちリアルなんですよね。

 他にも、光のリングというか、私の場合は光の三角形が繋がったような造形物が見えました。これも、初期症状だったんです。

 ただし、上の初期症状は網膜剥離が徐々に進行した場合です。私は、半年くらいかけて進行したのではないか?と医師に言われました。他に、急激に進行する場合があります。それこそ、大きな衝撃が加わったりした場合です。(他にもあるかもしれません。すいません、知識ありません。)

多くの方が、網膜剥離だと気づく段階は

 初期症状で気づけば良いのですが、多くの方々は気づかずに進行するようです。で、どうなるのか?ということですが、私の場合は、

目に、上からカーテンが下りてくる感じ

でした。これは、網膜が剥がれることを考えると、カーテンという表現は納得できますし、剥がれたら下に垂れ下がるので、カーテンが下りてくるというのも納得できます。(厳密には、像は反転する気がするので、下から上か?とか疑問は持ちますが・・・ま、おいておきます。)

 実は、運転中にこの症状が出ました。でも、私は白内障の眼内レンズが外れたのでは?と疑いました。網膜剥離についても、なぜ、気づかないかといわれると、私の場合は、病気だらけで、何が悪さをしているか?よく分からないからです。でも、駄目ですね。忙しさにかまけて、病院に行かないことが最悪なんですよね。 今回は、速攻で職場を早退して病院へ行きました。

網膜剥離の術式 今までとは恐怖感の次元が違った

 白内障の時、私は術式などを事前に調べることなく手術に臨みました。でも、これは患者としては良くない姿勢だと改心し、今回はきちんと調べて行きました。下調べと病院での説明内容をここで紹介します。色々と、本当に怖かったです。でも、当事者になると受け入れざるを得ないので、何とか乗り越えていけるわけです。

  • 失明のリスクがある。
  • 剥離の部位によっては、視力が回復しない可能性がある。
  • 手術した後で網膜が再剥離する可能性がある。この場合、症状が悪化して、手術が困難になることがある。病名は 増殖硝子体網膜症 。(アトピーの場合、普通の偏り可能性が高いという記述あり。)
  • 白眼の部分に3か所に、細い穴をあけてそこに管を通す。1本目は、暗い眼球内を照らす明かり、2本目は術内に出た様々なものをバキュームする、3本目はレーザーメス。
  • レーザーメスで破れたものはつなぎ、剥離したものを眼球に仮止めした後に、ガスかシリコンオイルを入れる。
  • ガスの圧、オイルの圧で、網膜を眼球の壁に圧着して、安定させる。
  • ガスは、自然と抜けるが、オイルの場合は再度、オイル除去の施術が必要で、その判断は執刀医が術中に判断する。
  • 手術の後は、うつ伏せ状態を維持しなければならない。

 簡単に言えば、裂孔した網膜を繋ぐという作業と、網膜を眼球にくっつけるという作業が必要で、繋ぐことは比較的容易(執刀医の腕次第)だが、眼球にくっつける作業は、時間が必要であり外的要因に左右される、といったイメージです。

手術中の最大の恐怖は、光が失われた体験

 術後に、病院に「ちゃんと説明してください!」とクレームを入れたほど、怖かった体験をしました。順を追って説明します。

 白内障の手術は長くて30分程度です。局所麻酔なんですが、ずっと光を感じる状態です。医師の「はい終わりました」まで目は開いた状態で、常に明るい状態です。これはこれで怖いのですが。。しかし、網膜剥離の手術は1時間程度を予想されており、事前の説明では「ちょっと強い麻酔になります。」と言われました。そして、手術を迎えます。

 最初は、白内障の手術の時と同じで目を固定するフィルムを貼られ、目はバッチリ開いた状態です。そして、目に3つの管を差し込む感触も分かります。ぐっと、力を入れて何かが貫通する感じです。勿論、麻酔が効いているので痛みはありません。しかし、見えているし、話も聞こえるので、確かに手術の方法と感じる感触が一致するわけです。

  ところがです。手術が進む中で、異変を感じます。手術している目がだんだん暗くなって行くのです。「あれ?なんか光を感じなくなった気がする・・・」

 時間が経過すると、違和感が確信に変わります。光を感じないのです。そして、真っ暗になります。目は開けているはずなのに、光を全く感じない、まさに暗黒の世界です。麻酔というのは、痛みを取るものだと思っていますし、過去の2回の白内障手術では光を感じながら手術を受けていました。手術中、本当に力が入りました。恐怖でした。本気でこう思いました。

「手術が失敗して、失明したにも関わらず、医師はミスを隠すために手術を続けているのではないか?」人間冷静でなくなると、物凄いことを考えてしまうものです。そして思わず医師に、

「先生、光を感じなくなったんですけど、大丈夫ですか?」

「麻酔が効いてきたんでしょう。」

「麻酔で痛みだけでなく、光が見えなくなるんですね。」と確認すると、

「そうです。」

 医師からすれば、当然すぎることだと理解できます。でも、「ちょっと麻酔が強くなります」って、それは・・・インフォームドコンセントとして不足していないか?と思いました。ま、手術中に医師に説明してもらったんで、いいのかな。でも、本当に怖かったんですよ。

 網膜剥離を罹患した職場の先輩にこの話をしたところ、「俺もさ、手術の後さ、全然見えなくて、看護師さんに、見えるようになるんですか?」って聞いたことあるよ。と話をしていました。もしかしたら、網膜剥離アルアルなのかもしれないです

うつ伏せ地獄 ここが一番大事なこと

 私は手術中に、医師が「オイルで行くので準備お願いします。」と看護師に話をしたのが聞こえたので、オイルなんだと理解しました。この医師の決断は、もう一度手術することが決定されて、そして、オイルを抜いた後もそれなりに大変なことになることを意味していました。

 さて、オイルをなぜ入れるのか?説明したいと思います。なかなか、原始的だと思い驚いたことを覚えています。

 網膜剥離において、網膜が剥がれるのは目の奥側です。後頭部側というか。そこに、レーザーで焼き付けるイメージでしょうか、くっつけます。ここまでが外科手術のなせる限界です。その後、定着させる必要があります。そこで、オイルを入れるわけです。オイルは眼球内にある水よりは軽いので浮力で浮きますよね。そうです。

 うつ伏せ状態になり、オイルの浮力で網膜を眼球内側に圧着させ生態的に接着し安定することを狙うわけです。ですから、手術後は、入院中も退院後の療養生活中も、基本、うつ伏せです。ある時から横向きは可!となります。いや、これがとてもありがたく感じるくらい大変でした。

 でも、超シンプルな治療ですから、どれだけうつ伏せ状態を保てるかで、網膜の安定が決まる!わけです。病院からは、顔の部分に穴が開いた顔を埋める枕と、長時間うつ伏せ状態で腰への負担を軽減するマットが支給されました。

 うつ伏せで眠るのが限界になると、椅子に座って頭を机に乗せる体制でうつ伏せ状態を作ります。入院の5日間、ずっとうつ伏せ睡眠、療養生活の1週間もずっとうつ伏せ睡眠。とにかく安静・・・これは、術後の儀式ですが、結構、辛いものでした。

 さて、私はシリコンオイルだったのですが、医師の判断ではガスになったのです。ガスも術後うつ伏せが必要になりますが、自然とガスが抜けて水分と入れ替わるのだそうです。つまり、オイルを抜く手術が不要なのです。恐らく、より網膜を安定させる状態を生み出す必要があるときに、オイルを使うのだと思います。

シリコンオイルが入っている状態を解説

 結果的に、9月から翌年の1月頭までシリコンオイル入りの目で生活をしました。どんな感じなのか、可能な限り説明をしたいと思います。

  • 上を向くと、バニラアイスに、柔らかいチョコレートソースを掛けた感じで、オイルが眼球を覆ってきます。
  • オイルが入っているので、光の屈折が普段とは異なります。本当に表現が難しいのですが、モノが動く様子が、頭の中で時間差で起こってくるイメージです。この速さで動けば、これくらいで動くものだと、経験として想像できるわけですが、その想像よりも見えるものがゆっくりになるのです。
  • 夜は、より暗く感じます。いや、本当に暗い。

 簡単に言えば、暗くなり動くものの見え方が変わってしまいます。しかも、上を向けば、ダラーっと流れるオイルが見えるわけです。さらにさらに、時間が経過すると、汚れというか何でしょうか、多くのごみがオイルに結集し、超飛蚊症の状態になります。黒い点や、気泡などが混ざったものが、目全体で泳いでいます。これは、人によっては気持ち悪く、耐えがたいものになるかもしれません。

シリコンオイル除去手術・・・

 1回目の手術から4か月が経過し、オイルも汚れてきたので、オイル撤去手術を行うことになりました。私も仕事があるので、担当医に「年末に、手術をお願いできませんか?」と頼んだところ、医師から

「年末年始は、病院が休みになってしまいます。何かあったら、対処できないので、新年早々にしたいのですが」と言われました。

 即、考えを改めました。何とも説得力があり、手術を私が舐めている感じがしました。ということで、年始の頭に手術を行いました。

 結果として、オイルを抜く手術だけでした。つまり、網膜はきちんとくっついていて、追加で安定させる処置をしなくてもよかったのです。実は、この時、手術費の説明で、オイルを抜くだけbなら7万前後であり、追加でまた網膜裂孔などに対処すると25万円前後になると説明を受けていました。費用もそうですが、心から「くっついていてくれ!!」と思っていたので、本当にホッとしました。

オイル除去後の生活も、苦労の連続・・・

 見事、網膜はくっつきました。でも、極力、運動は避けるべきだし、いろいろと気を付けるべきことがあります。私の担当医は、「それほど意識せず、自然な生活を」というスタンスの方で、それはストレスを感じることのない対応でした。その分、自分で気を付けようと思えました。

 しかし、最初から予想はしていたのですが、オイル除去についてですが、眼球には恐らく水分が多く存在していて、そこにオイルを入れているわけです。そのオイルを完璧に抜くことができるとは正直思っていませんでしたし、現実、そうなんです

 オイル除去はしていますが、オイル交じりの残存物(良い表現が浮かびません)が残っているのです。これは、時間が経過すれば、減少すると言われていますが、リスクの説明でも「残ることがある」と言われています。時間経過と、人によって状態が変わるから、医師としても「これだけよくなる」と明言は出来ないのでしょう。

 現在は、こんな感じです。

  • 遠くを見るとき、残存物は視界の下の方に移動して気にならないレベル。
  • 動いたときは、視界全体に残存物が広がって見える。
  • 最悪なのが、読んだり書いたりする作業の時、場合によっては残存物が固まって視界に入ってしまう。実際に、字が読めない程度です。

 この状態が、今後どれだけ続き、どれだけ改善されるのか、については、更新して行きます。

ただ、私が辛いのは、今回網膜剥離になった目とは逆の目は、円錐角膜が酷くハードコンタクトを入れないと視力が出ません。網膜剥離の目は、残存物に苦しみ、逆の目は円錐角膜によるハードコンタクトレンズの装用感に苦しんでいます。

 常に、目が辛いのです。本当に疲れます。その結果として、生活スタイルも大きく変わりました。正直、働き方改革を本当にやらないと、身体的に仕事ができないのです。

 さらに辛いのは、電車等で座らないと辛いわけです。しかし、外見は眠たそうな目をしている普通の中年男子です。優先席に座っていたら、ダメですよね。いやでも、電車で立っていること自体、結構、ふらつきます。ヘルプカードに頼るほどでもないのかなとか、今までとは色々と変わったというのが実感です。

タイトルとURLをコピーしました