角膜移植の体験談

アトピーと目の病気

 2023年5月に角膜移植を行いました。2022年冬に、急性水腫を患いました。圧迫眼帯で様子を見る一方で、角膜移植も将来視野に入れてアイバンクに登録しました。この後の角膜移植の流れについてまとめました。将来、角膜移植をする方の参考になれば幸いです。

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角膜移植が可能な病院で、角膜の提供をまつ

 まず、角膜移植が可能な病院にお世話になることが前提です。私の場合は、名古屋の中区にある眼科杉田病院でした。ここで、急性水腫を罹患した2022年の12月頃に、主治医との相談で角膜移植も視野に入れることになりました。この折、アイバンクの登録をしましたが、国内とアメリカの2つに行いました。

 手術を説明する担当者の方から「国内だけでは時間がかかってしまうので、念のためにアメリカのアイバンクにも登録します。」と説明を受けました。私は「提供されるのに、どれくらいかかりますか?」t聞いたところ「名言はできませんが、数か月から年単位になります。」さらに「角膜の提供があった場合ですが、極端な話「明日入院可能ですか?」といった連絡が行きます。ここで、入院できないと言われてしまうと、次の方に行くということもあれますので、この点ご了承ください。」と言われました。

突然の連絡 決断は30分で行いました

 アイバンク登録から約5か月。GWの最中に突然、私のスマホに眼科杉田病院から電話がかかってきました。私は、イベント会場にいて凄まじい音響の中にいましたが、着信をみた瞬間に「来た!」と思いました。電話に出ると、予想通り角膜移植のお話でした。

 「角膜移植が可能となりました。国内のアイバンクからの提供です。突然ですが、明後日の入院は可能ですか?実は、あなたの前の患者さんにもお電話している状態で、その方が、態度保留状態です。もし、その方が手術をお受けできないとお返事した場合、あなたが手術を受けることができるということです。その前提なのですが、いかがでしょうか?」

 私は「私の意思としては、ぜひお願いしたいと思っています。ですが、家族、勤め先とも協議したいので、30分ほど時間をください。」と答えて電話を切りました。入院期間が1週間程度とその後、自宅療養期間が1週間程度必要だという知識は下調べ済。また、GWの休日と有給休暇の残りの日数も計算した上で勤め先に電話し、上司に事情を説明。「体が大事だから、手術優先してください。職場は、何とかなりますから気にせずに。」と言ってくださいました。こういうときは、勤め人で良かったと思います。この後に、家族に連絡し事情を説明。

30分をかからず、折り返し病院へ電話し、手術を受ける意思があることを伝えました。そして、1時間後に病院から再度電話があり、前の患者さんが辞退したので、正式に私が角膜移植を受けることになりました。

術式を調べるなかで、提供者への猛烈な感謝の気持ちが生まれる

 私はPKPと呼ばれる全層角膜移植です。角膜移植なので、角膜だけが提供されると漠然と考えていました。しかし、リアルに考えると、提供して下さる方は「検眼」と言って、眼球全体を提供するわけです。言われれば当然なんですが、でも、ここをリアルに考えると、本当に感謝の気持ちが込み上げてくるのです。

 亡くなった状態で、眼球を摘出します。私も、当然葬式に参列したことがあります。献眼をした場合、おそらく、元の位置に何かを入れたり対処ををするはずです。ここまで含めて、ご家族の方々も了承をしてくださっているわけです。こういった方々の善意なくして、私の目は今のように見えるようにはなってはいないのです。

 さらに、実際に私の目に移植されるには、様々なチェックが行われるそうです。場合によっては、献眼されたけど使えないというケースもあるはずです。ドナーの方とそのご家族、アイバンクの仕組みを作った方、また、運営している方々、そして、眼科杉田病院の方々、もうすべての方の力がなければ私の目はどうなっていたか分かりません。

 もらった角膜を絶対に無駄にしてはいけない!!強い意志を持って今も右目を大事にしています。寝るときは保護メガネを着用、日中も眼鏡や保護目眼を着用。外的要因で、この右目を絶対に傷つけたくないのです。

医師から言われた注意点

 角膜移植を終えて、退院も近づいたとき、意思から言われたことです。

「いわゆる、拒絶反応には注意が必要です。可能なら、毎日、視野チェックを行ってください。少しでも違和感を覚えたら、予約を待たずに来院してください。」

 拒絶反応については、角膜はほかの臓器よりは発生確率が低いと言われています。また、数年後に起きることもあるそうです。忘れたころにやってくる感じですね。違和感を覚えたら、即、病院へ行こうと思っています。点眼等で結構な確率で回復もするそうです。不用意に恐れず、しかし、早期に発見する努力は怠らないようにしようと思います。

入院期間と療養期間 療養休暇を利用すべきだったと後悔

 入院期間は、1週間程度と聞いていましたが私は10日間だったと思います。もう色々と目の病気をやっているからなのか、主治医の方が慎重になってくださったのではと勝手に想像しています。ただし、退院した後も自宅での療養が必要です。手術後1~2週間程度が目安らしいので、私の場合は退院後1週間となりました。

 私は、この入院と自宅での療養に対して、有給休暇を当てました。GWの休日中における入院もあり、有給休暇は10日強を消化したと思います。「勤め先に迷惑をかけてしまう」という気持ちからでしたが、この判断は間違っていると今となっては思います。結局、その年度は有給休暇で苦労しました。眼科だけでも、退院後通院は数回あります。この年度に有給休暇をほぼ使い切り、翌年度も復活しましたが、結局苦労しました。決して、職場は悪い環境ではなく、比較的しっかりとした体制ではあります。

 結果的には、療養休暇を申請すべきでした。4日間は有給休暇を使うものの、有給休暇はきちんと確保できます。当時、私は制度を知らなかったわけです。無知は本当に損をします。皆さまも、勤め先に療養休暇制度があるかどうか、どういった制度なのか日ごろからチェックすることを強くお勧めします。

 療養休暇を私は悪用、乱用は絶対にしません。これほど、労働者を守ってくれる制度はありませんし、正直、雇用者側にも感謝です。乱用してしまい、真に困った労働者を助ける制度がなくなる、改悪されることは絶対に避けなければなりません。

手術・入院費用

 眼科だけでも、当時で5回は入院していました。ですから、費用については、おおむね予想が出来ています。国内のドナーの方だったので、保険適用ですので、過去とそれほど変わらない計算となります。3割負担で25万程度予想でした。しかし、ここまで支払う必要はありません。高額医療制度が利用できるので、かかっても最大8万程度だと思っていました。ところが、ぎりぎり基準年収を超えてしまい、この手術の時から167400円が上限金額となってしまっていました。これは会計時に驚きました。
 当時は、入院時に高額医療制度を利用することを事前に申告します。申告するのに、職場からの証明書的なものが必要だったりして面倒でした。なので、会計時に思わぬ金額に驚いたわけです。今は、マイナカードと保険証が紐づいているので、限度額もその場で分かります。
 この高額医療制度も絶対に知っておくべき制度ですね。国に対する不満渦巻く世の中ですが、ありがたい制度も結構あります。私の場合は、入院1日5000円の民間保険などにも入っていたので、かかった費用以上に戻って来ました。

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