同僚の方から薦められて、1日で読み切りました。メチャクチャ、面白い本でした。編集技術を学んだので、改善したいのですが、まだ無理ですね。素直に書いて行きたいと思います。でも、頑張って意識はして行きます。
しかし、さすが編集技術を題材にした本です。著者である松岡さんの冒頭に書かれた意図が、徐々に理解できて行く構成です。世界観から、ノウハウまで・・・例示される数々の芸術作品、本、言葉も、本当に楽しいものでした。前半の仕掛けが後で効果的に効いてきます。それも本当に心地よいです。上質な時間を味わえる本でした。本当にご馳走様です。
新しく学んだ多くの用語たち・・・これがまず刺激的
本の本質とは別のところで、いや、本質理解に必要な部分もあると思うのですが、自分が無知でまだ厳密に分類できないだけなんですが、とにもかくにも、何か、これ面白い!!って思う知識が盛りだくさんなんですよね。ちょっと、一部、紹介しますね。
- meme 読み方はミームです。文化遺伝子で、文化の伝達や模倣といった意味です。geneが生物の遺伝子に対して・・・と理解しると分かりやすいですね。リチャード・ドーキンスさんの「利己的な遺伝子」で初登場。
- 古代インドの口語をプラクリット、文語をサンスクリット。フランス語で口語が和ロール、文語がラング。
- 遊びの本質4分類。アゴーン(競争)、アレア(サイコロ)、ミミクリー(真似)、イリンクス(めまい)→イリンクスは、回ったりするような遊びですね。
- 遊びの共通点 パイディア(興奮)、ルドゥス(困難)
- compile,codify(編纂)とedit(編集)
- ヤスパース「枢軸の時代」→大学時代教養関係の授業で無神論的実存主義としてヤスパースの本を読んでレポートしたなと思い出したのです。
- 治療不可能の善にとりつかれている フィリップ・ミュレイ
- 嘘の効用 イギリスの名義上び損害賠償
- テイストの知
どうでしょうか?もっと沢山あるのですが、どれもこれも、知的好奇心をくすぐるものばかりです。松岡さんの知識の深さに驚くばかりです。いや、純粋に新しいことを学ぶって楽しいですよね。
「編集稽古」実践エクササイズが、面白すぎる・・・
本の中に、編集稽古と称して実践から学ぶコーナーがあります。これが、面白すぎる。なぜ、面白いのか?実践が、本当に実践。正確に言えば、文章で読者に理解して欲しいことと、実践を行い感じることがイコールなんです。
文章に句読点を付けてみて、文脈の違いを探るとか、四コマ漫画のカット割りを体験して、印象が全く変わるとか、連想ゲームとか・・・松岡さんの主張を、身をもって体験できるわけです。
編集という頭の使い方なので、可能な部分なのでしょうが、例えば、数学を学んで、例題を解くときって、何かリンクしない気がします。例題解いてみて、「そういうことだったのか!!!」みたいな感動ってないですよね。これは、松岡さんの編集技術の高さなんだと思います。
本質とはずれますが、編集稽古に出された文章に、今私が読んでいるハンナ・アレントの人間の条件から引用されたものが使われていました。博学な方の例文に、自分が読んでいるものが使われているとは!!無邪気に嬉しいですね。
編集の世界観に浸かってみて、編集技術が欲しいと思った
松岡さんは、この本では編集の世界観と編集技術の両方をバランス良く書いていると冒頭で主張されています。いや、まさにその通りで、私は編集の世界に浸かり、編集技術がマジで欲しい!!と思ったのです。まずは、その世界観を私なりに書いてみます。
有史以来、全てのものは編集されて来ました。儀式も、炎、生贄、音、雰囲気は編集されている。”レシピは味の文脈をつくるための編集術”これも納得です。日本の今の歴史は、戦勝国が編集したものという批判も良く聞きます。法律も長い歴史の中で、今の形に編集されて来ました。固い法律、柔らかい法律があり、バランスをとれるようになっています。子供の遊びにもルールがあり、そのルールは編集されています。また、そのルールが厳密に定義されたスポーツも、そのルールは当然編集されています。いや、もっと身近に私たちの会話も、書かれた言葉も、お笑いも、編集されています。
編集的世界観というもの自体が時代や民族や文化のなかで、常に文脈を推移させ、変貌を遂げて来た。
実は、さらに編集的世界観を好きになった理由があります。それは、第一章の乱世をどう編集していくか?という節を読んだときです。
問題は「主題」にあるのではない。問題の解決の糸口はいくつもの主題を結びつける「あいだ」にあって、その「あいだ」を見出す「方法」こそ大事になっている。
少し説明不足で申し訳ないのですが、要するに、編集する対象が「あいだ」にあり、編集が「方法」の要になるということです。
世の中、ダメになって行っている!!と感じながらも、何とかしなければ!!という立場の私にとっては、この世界観は心から賛同できるものでした。
ここまでの説明で、確かに、世の中編集だらけだと思いませんか?少なくとも私は、編集を切り口に世の中を見たことがなかった。別の言い方をすれば、新しい頭の使い方を教えてもらったようなものです。 この世界観をより正確に見通せる、編集技術を身に着けたい!!と思ったのです。
肝心の編集技術については、素人の私には説明できない
本の中には、6つの編集の原則、13の編集の方向性、64のメソッドが書かれています。いますが、ノウハウを超具体的に書かれているわけではありません。13の方向性の部分までは、考え方のエッセンスが説明されています。 松岡さんも書いておられますが、この本が単なるノウハウ本ではないということだと思います。
編集の方向性の中で私が、なるほど!!と思った話を書きます。キーワードは、「地の情報と図の情報」「分母と分子」です。どちらも、同じ概念だと思うのですが、黄色い紙が地で、そこに黒い記号(図)ということです。地がベースでそこに図が乗っているわけですね。分母と分子も同じことです。
例えば、分子に「寒い」が乗ります。ここで、分母に「夏」が来るか「冬」が来るかで、意味合いが全く異なりますよね。私は、言葉の方が意味が分かりやすいのですが、逆に、地と図については、今後多くのチラシやらポスターを見たりする時に意識してみようと思うのです。
いや、このブログを書くときや、会話をするときも、分母と分子を意識することは出来ると思います。相手のバックボーンを分母として意識しながら、分子に適切な単語を乗せるとか。いや、なるほど!!編集って物凄い!!
私が考えていること 理解力=編集力??
本の後半には、松岡さんの読書術が書かれていました。これだけ、多くの知識を獲得した方の方法です。ぜひ、真似をしようと思いました。
というか、考えてみると、本を読んで理解するときも、頭の中では編集作業を行っています。正直、自分でいま真剣に考えているのは、理解すると、編集することは一緒なのか?ないしは、どんな関係があるのだろうか?ということです。
理解しないと編集できない気もしますが、物事を理解するときには、今まで編集されて蓄積された知識や、トレーニングされた(いや、これも編集なのかな)頭の使い方を試行錯誤して、理解しようとしています。
今、直感的には、理解力=編集力なんだろうと思って、そういう仮定で自分の頭を使ってみようと思っています。
主語から述語、主題から方法の時代と松岡さん、多くの問題が明示された前世紀、その問題を解決するときに、述語、方法を重要視し、行間、関係に着目して行くことが大事だということですが、この関係を見つける上で、本で書かれた編集の世界観や、編集術が大事というわけです。
すると、物事の理解の方法自体にも編集方法は関わると感じるわけです。
本を理解するうえで、重要になるのが読書術 理解=読書術
本を理解ために、いったい、どのように本を読めばいいのか?という思考なんですが、理解力=編集力という仮定に立っているので、松岡さんの読書術は吸収する価値があるわけです。一度読んでの理解、読み返すなど、色々なことを考えて、本を理解するために、どのように読めばいいのか?という意味だと思うのです。
実際、読書術を紹介する本ではないので、超シンプルに書かれていました。でも、だからこそ、ヒントが多い。行間は自分で補うわけですから。
目次読書法
- 目次読書法・・目次を読んで、書かれた内容を想像する。松岡さんレベルだと、作者への膨大な知識から、どんな状況で書いたのか?まで想像する。
- この想像の段階で、本のマップが完成している。
- また、お宝を探す気持ちでワクワクしながら目次を読み、想像を膨らませる。
- 次に、やおらパラパラと読む。ここでは、自分の想像、想定との違いを見る。
- →この差が、読書を加速させ、立体化させる。(のだそうです。実感まだなし。)
- この次に、通読、熟読の段階に入る。
マーキング読書法
- 重要な箇所を線で囲む。
- 固有名詞、概念名詞を区別して、図形的なマーク。
簡単に書くと、こんな感じなのですが、本には例も書かれています。色は2色だそうですが、線やマークは多様でした。自分で開発して行こうと思います。
ブログを書くようになって、本の内容について、それなりにまとめる、要するに編集しなければなりません。私は、メモ帳を使って読書をしていますが、松岡さんの方法に切り替えて行こうと思います。ページ数を覚えておくのも大事なので、付箋か、ページ数だけどこかにメモするか。とにかく試してみます。
本を読んで、技術 ノウハウ を大事にするようになった
今回、読書術を本気で真似をして、確立しようと思っています。というのは、人間、意外とノウハウが大事だと思うようになったからです。
色々と考えるわけですが、最終的に何か行動するときには、自分の身体から何かを操作しますよね。この操作技術の上手い下手が、その後の結果に繋がると強く感じるからです。
株式投資も、本を読んで実践するも、株取引のアプリ、私の場合はHyperSBIの使い方が下手だと何も始まりません。私は絵を描くのが下手なのですが、上手ければ私の考えを文字以外でも伝えられます。
このブログでも、文字だけから写真、動画、そして読まれるようにする技術まで、本当にノウハウ技術が大事だと思うのです。
大好きな車においても、車全体のスペックがどうであれ、ステアリング、アクセル、ブレーキ操作で車の動きは異なり、タイムも代わります。
当たり前のことを忘れていました。感覚的に頭で世界を繋がっているけど、結局、物理的に世界とつながるためには、自分が直接操作するGEARの使い方が上手でなければならないということでした。
松岡さんの編集技術の本を読んで、色々と考えたのですが、今回、自分では大事な気づきを得ました。冗談ではなくて、まずは、説明書をすべて読むようにしよう!!ってことです。