「マイナンバーを活用して金融所得(配当所得と譲渡益)を名寄せして、50万円以上の金融所得の税率を現状の20%から30%に引き上げると、概ね3,000億円の税収増になります。2021年度(予算)の配当所得と譲渡益に係る財務省資料の数字を基に試算です。」
我が政権構想 日本経済強靭化計画内の発言
この高市氏の発言には、正直驚いた。その驚いた理由を説明したい。
<驚きの理由、その1>
消費税増税の理由として、「医療、教育、福祉などを充実させるため」と言われていたが、この国民への政府からの説明が、間違い(嘘なのか??)であるということが国民に浸透しつつあるなかで、また、国民側への増税を打ち出した点に驚いた。
金融所得という言葉から、多くの国民は、一部の裕福な国民への増税だと思うと判断したのだろうか。一部の裕福な国民から税金を取るのだから文句は出ないという判断なのだろうか。本当に我々は馬鹿にされていると感じる。
<驚きの理由、その2>
最近は、副業がOKになったり、投資が大切だと言われてもいる。FIREなども含めて、今までの終身雇用が労働の形ではない!という打ち出しを強く感じる。
企業は現実的に内部留保の金額が過去最高!と言われてはいるが、しかし、終身雇用の維持が難しいという姿勢を明確にしている。つまり、被雇用者側は、今までの会社での収入以外から、お金を稼ぐ必要が出て来たということだ。だから、株式を始めとする投資への興味関心が高まった。副業も含めて、日本は多様な働き方の一部に、投資を含めたお金の稼ぎ方もスタンダードになって行く潮流だと思っていた。
と、このタイミングで高市氏は金融所得の税率を20%から30%へ上げると言うのだ。しかも、年間50万以上と金額のハードルが低い。金融所得は、巷では「不労所得」などと、楽して稼げるみたいな風潮があるが、実際、投資を行う立場からすると、そんな楽なものではない。常に、自分の種となるお金を原資に、リスクと戦っている。そして、多くの個人投資家は裕福ではない。上にも書いたが、従来の労働からの収入が少ないとか、将来、年齢を重ねた後に会社を辞めるリスクを考えての行動もある。
このように、労働環境が激変する中で、国民は右往左往しながら、投資という道を選択しているものも多い。というか、このように投資のハードルが低くなり、副業も自由に行える環境でなければ、終身雇用が崩壊した後の労働環境は安心して働けないはずだ。このヘッジとして、株式投資があり、金融所得への税率が低いことが投資へのハードルを下げていたはずだ。
終身雇用が崩壊し、それに代わる労働環境は、副業、投資なども絡めて、多くのリーマンは会社で働くイメージであって、そのように国が進めていると感じていたのだが、高市氏の構想はこれを真っ向から否定するようなものだ。本当に驚いた。